おもしろ論文探索ガイド〜vol.1 ねこ篇
こんにちは。研究支援エナゴのスタッフkazumiです。
英語論文の英文校正・英文校閲・ネイティブチェックから投稿サポートまで、学術研究論文に特化したトータルソリューションを提供しています。
みなさんは研究論文と聞いて、どんな印象をお持ちですか?
アカデミックなターム満載で硬くて読みにくい、というのが
わりと一般的なイメージかな、と思います。
ですが、世のなかの研究ワールドはとても奥が深く、
かなりユニークな論文がざくざく……。
そんなわけで、今回はわたしがこれまで出くわしてきた
専門外からすると
ちょっと笑ってしまうようなテーマの論文を
いくつかご紹介していきたいと思います!
今回は猫にまつわる論文をピックアップです。
猫の研究というと
行動研究、生理学、獣医学、少し離れても文学作品のテマティック批評?
と思っていたら、
予想のはるか斜め上でした。
では、早速まずはこちらの論文からまいりましょう。
- 動物に対する好き嫌いが印象に与える影響 ―イヌとネコにおける検討―
(大森慈子・石黒由貴・水田敏郎、2017)
https://doi.org/10.4992/pacjpa.81.02B-044
【要旨】
イヌおよびネコに対する好悪感情と印象の関係に着目した.本研究の目的は、動物に対する好き嫌いが印象に与える影響について、特にイヌおよびネコについて検討し、さらに自身における動物の好悪との関係を調べることであった。
【結論】
イヌであってもネコであっても,動物好きな人は嫌いな 人より親近性があると評定された.動物好きであることは, 肯定的なイメージがあると考えられる.
たしかに"動物好きはいいひと"のイメージあります。
キーワード:イヌとネコ,好き嫌い,印象
を見た時点で早々に心奪われた論文でした。
図表の尺度が「イヌ好き度別」「ネコ好き度別」なのもつぼでした!
つづいて次の論文は、タイトルにはやくも魅惑のワードが。
なんと、インタラクティブ猫じゃらし!
わたしも猫と長年過ごしていますが、初耳でした……。
(佐々木梨菜 ・鈴木優、2018)
http://id.nii.ac.jp/1001/00188969/
【要旨】
古来より人々はペットと共に生活してきたが、その生活環境は人の快適さが前提であったり、それらをペットに強いている場合が多い。例えば、猫の飼い主がPCを使用する際、猫がキーボードに上がるcat typingと呼ばれる問題がある。飼い主は快適にPCを使用するため、PCに近づこうとする猫を遠ざけようとする。本研究ではこの問題を解決するため、飼い主がPCを用いた作業をしているそばで、 猫がタブレットに触れて遊ぶことができるインタラクティブな猫じゃらしシステムを開発し、このシステムの有用性を確認するため、数匹の猫に試用実験を行った。
【結論】
いくつかの現象が確認でき、仮説としてシステムが有効に機能する猫の属性があることが示唆された。
「飼い主がPCを用いた作業をしているそばで、
猫がタブレットに触れて遊ぶことができるインタラクティブな猫じゃらしシステム」
という件は他を圧倒する決め文句ですね!
猫がキーボードに上がること、Cat typing というんだ……。
学生奨励賞をとられた論文の仮説実証をされる今後が楽しみです。
最後はゴロゴロの可能性を探ったこちらです!
- 店舗用BGMに最適な新規リラクゼーション音源の探索-猫のゴロゴロ音についての初期検討-
(荒井翔子、大橋学、伊藤有紀、UeharaJuanMartin、増田知之、2019)
https://cir.nii.ac.jp/crid/1050001202627875072
【要旨】
店舗の環境を創り上げる要素の1つに、バックグランドミュージック(BGM)が挙げられる。買い物客の購買意欲を高めるためには、既存のBGMに頼るだけではなく、その店舗にフィットした新しい音環境や音源の開拓が必要である。現在、日本は空前の猫ブームに沸いており、猫の発するゴロゴロ音が人に癒しをもたらすと考えられている。しかしながら、これを実証する科学的根拠はほとんど存在しない。そこで本研究では、猫のゴロゴロ音が人の生理的状態にどのような影響を及ぼすか検討した。ストレス負荷課題をこなした実験参加者に猫のゴロゴロ音を聴かせたところ、ゴロゴロ音を聴いた群の心拍数は、猫への嗜好性を問わず、安静時の基準値よりも有意に低下することが明らかとなった。
【結論】
この結果は、猫のゴロゴロ音にリラックス効果があることを示唆しており、猫のゴロゴロ音が店舗での新規音源となるポテンシャルを秘めていることが明らかとなった。
……無駄のない簡潔な要旨で思わず書き抜いてしまいました。
なんども登場する「猫のゴロゴロ音」という
およそ研究論文に思えない言い回しが素敵です。
個人的には「猫のゴロゴロ音のポテンシャル」というフレーズが最もつぼでした。
ただBGMが猫のゴロゴロいう音だったら、わたしはちょっと困惑するかも笑
以上、猫にかんするおもしろ研究論文をお届しました。
興味深いねこ論文(?)は尽きなかったので
日本でここ近年に出されたものから選んでみましたが、
いかがでしたでしょうか。
わたし個人としては、
真面目な学術論文だからこそ、そのギャップがたまらなかったです!
ほかの分野にも数々のおもしろユニーク論文がまだまだありますので
このブログでまたご紹介していかれたら、と思います。
そして、研究の世界に興味を持たれたかたには
わたしたちエナゴが運営するサイトエナゴ学術英語アカデミーのブログ記事がオススメです。
よかったら一度覗いてみてくださいね。
いやいや、研究って奥深いですね!
英文校正はエナゴまで―♡