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G7科学大臣コミュニケにおけるオープン・サイエンスの推進

G7

こんにちは。

広島で開催されたG7サミットが終わりましたね。

さまざまな課題とさまざまな見方ができる成果だったと思いますが、
みなさんどのように感じられたでしょうか。

広島に目が向く一方、仙台市では2023年5月12日から14日まで
G7=主要7か国の科学技術相会合が開催されました。

そこで、議論の成果をまとめた共同声明として
科学と技術の未来を切り開く道標となる「G7科学大臣コミュニケ」が採択されました。

そこでの主要テーマは
「信頼に基づく、オープンで発展性のある研究エコシステムの実現」。

これからの科学技術政策の指標として

  1. 研究データおよび学術論文などの成果を社会全体で共有するオープン・サイエンスの促進
  2. 不正な知識・技術の移転や研究に対する外国からの干渉の問題への取り組み
  3. 気候変動をはじめとする地球規模の課題解決に向けた国際協力

などのディスカッションが熱心に行なわれました。

2では、中国が念頭におかれ、不当に軍事流用されている現状に懸念が示され
3では地球温暖化に関する北極での海洋観測をめぐり
ロシアや中国が北極海への海洋進出を強めていることを背景として
「信頼、尊重、相互利益に基づく長期的な研究関係を通じ、
     実施されなければならない」

との指摘がありました。

また科学研究や国家安全保障などで重要な役割を担う宇宙空間の安全な利用に向けて  
宇宙ごみを減らす取り組みで各国が連携するとしています。

この採択された共同声明において、
アカデミアはじめ注目すべきは1のオープン・サイエンスの促進ではないでしょうか。

「科学研究の自由と包摂性の尊重とオープン・サイエンスの推進」です。

ここでは、FAIR原則
——データの機械可読性、アクセス可能性、相互運用性、再利用性——に沿い、
研究データや学術出版物などの科学的知識や公的に支援された研究成果を
公平かつ公正に共有するという認識を一致させ、
オープン・サイエンスの拡大のために協力することが謳われています。

国境や組織の枠を超えて、共同研究や知識の交流が可能になり、
世界中の科学者たちが連携し、未解決の問いに立ち向かう
……という青写真でしょうか。

イノベーションの門戸を広げる狙いがよく見えますね。

オープン・サイエンスはアカデミアの力を最大限に引き出し、
社会全体を活性化させる鍵。

これを実現させるには諸々の問題や課題もありますが、
基本的にはこの共同声明は歓迎し、
その実現に向けて尽力する覚悟が必要なのかもしれません。

仙台市でのG7科学技術大臣会合は、世
界の未来を担う科学者・研究者たちの仕事に目を向けた
目標を立てようとする場だったように思います。

研究者をはじめ、アカデミアに関わる一人ひとりが、
研究成果や知識の共有に参加し協力し、創造しつづけることで、
アカデミアにとってもよりよい方向へ趣くことができる
可能性があります(少し楽観的かもしれません!)。

この共同声明が、アカデミアと社会を密接に繋げる未来への架け橋となり、
ともに進化する社会の第一歩となることを期待しています!

 

【参考サイト】

G7仙台科学技術大臣会合

G7仙台科学技術大臣会合(概要)内閣府, 2023/5/13)


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